もひとつ

ガムをクチャクチャ噛んでたら、普段俺のことキモイとか言って避けてる女が寄ってきて「私にもガムちょうだい」って言ってきやがった。
かなりムカついたんで、女の首根っこ掴んで口移しで自分の噛んでるガムをやるふりしてやった。
殴られるか、悲鳴をあげられるか…
どうでもいいが二度と近寄るなって思った。
ところが、驚いたことにその女は目を閉じて唇を少し開けたんだ。
俺の方がビビって、あわててちょっと離れた。

しばらくの間があった。

その女は「マジでするのかと思った」と小声で言って、ガムを奪って走り去った。

それから何日か後、その女がキャンディを食ってたから、今度は俺の方から「ひとつくれ」って言ってやった。
そしたら俺をからかうように舐めてたやつを唇にはさんで口をとがらせた。
俺はその女の唇ごとキャンディをほおばってやったよ。


今でもその女も俺の彼女。
その時舐めてたキャンディはもちろんヴェリタースオリジナル。
なぜなら彼女もまた、特別な存在だからです。